■■■■ハリーとトント('76米)

監督:ポール・マザースキー
主演:アート・カーニー、エレン・バースティン
老人と老猫の物語。冒頭NYの街角の老人が次々と映し出されるが、40年前の作品なのだ。高齢化社会が深刻化した現在では、こういうウィットに満ちた作品は作れないだろう。
老朽化したアパート取り壊しの為旅に出た、老人と猫のロードムーヴィー。NYからシカゴ、アリゾナ、ヴェガス、LAとヒッチハイク(バスでは猫=トントが嫌うから)での旅。途中かかかわってくるさまざまな人々との出会いが、淡々と描かれる。
長男夫婦の次男(長男は、クリアライトというバンドをダラス・テイラーと組んでいた、クリフ・デ・ヤング)、
Clear Light

Clear Light

ジョシュ・モスデルが「沈黙の行」なる宗教儀式にはまってて、言葉をしゃべらない(部屋には、ミハー・ババ(ザ・フーピート・タウンゼントのソロでこのポスターを見た事があるが、タウンゼントが傾倒してた宗教家)のポスターが。シカゴで本屋を経営する娘のエレン・バースティンに出会うが、彼女がアート・カーニー(この映画でオスカーを取った)と同じメガネしてたのもおもしろい。海沿いの道を散歩するシーンはしみじみする。途中ヒッチハイクで拾った、家出少女、メラニー・メイロン(コロラドのヒッピー・コミューンへ行く)は、これがデビューだけど、有名なのはデビー・ブーンの歌だけが知られてる「マイ・ソング」。インチキなビタミン売り(ビタミンFまであるという)は、アーサー・ハニカットで、彼から買ったミキサーが縁で、ネイティヴ・アメリカンの祈祷師(チーフ・ダン・ジョージ)に肩を治してもらうくだりも、ヴェガス行きのヒッチで、美人娼婦に「ショービジネス関係?」と聞くくだりも、おもしろい。
冒頭NYの隣人たちが、TVドラマの「鬼警部アイアンサイド」*1の結末をしきりに気にしてるのもおもしろい。後半でチーフ・ジョージが、アイアンサイドという名前が、アメリカンネイティヴに多いことから、いとこかと思った、という台詞も出てくる。

20th Century Fox、1h55、■■■■

*1:ちなみにこのドラマのテーマ曲は、「ウィークエンダー」の"新聞によりますと〜"で流れるやつ(古いね)で、作者はクインシー・ジョーンズ、最近ではタランティーノが「キル・ビル」で使った。又アイアンサイドは、ジム・トンプソン作の小説からTVドラマ化された。車椅子警部アイアンサイドはレイモンド・バー(「裏窓」の犯人)が演じる