荒野のストレンジャー('73)
監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド、ヴェルナ・ブルーム
「恐怖のメロディ」('71)に続くイーストウッド監督第2作。
かつて町民によって、保安官(演じるバディ・ヴァン・ホーンは、後に「ダーティ・ハリー5」を撮った)を無法者によってリンチさせた過去がある、湖畔の町、ラーゴにたどり着いた名無しの流れ者が実は殺された保安官の亡霊で、町と無法者に復讐する物語。
墓石に名前を入れないと、魂が成仏しないという言い伝えから、途中で彼(名無し)が亡霊とわかる(ラスト近く、名前を聞いてなかったな、とたずねた小人に「知ってるはずだ」と嘯く場面もある)。町民で唯一「正しい心」を持っていたのが、リンチの時止めに入ろうとしたホテルのオーナー夫人のヴェルナ・ブルーム*1。
他には、マリアンナ・ヒル、ミッチェル・ライアン、ウォルター・バーンズ、ジェフリー・ルイス*2、アンソニー・ジェームズ、スコット・ウォーカー、ウィリアム・オコンネル*3ら。
脚本は、アーネスト・タイディマンで、最初と最後、地平線の彼方に消え行く名無しをとらえたショットが、印象的(カメラは、名手ブルース・サーティーズ)。マカロニあがりというところもあって、従来の西部劇とは一線を画す新しさがあるものの、一般的にはまだまだ無視された感はある。イーストウッドは後の「ペイル・ライダー」でも大筋を引用。ただそちらは「シェーン」的でもあり明るく、ここでのダークなヒーロー(アンチ・ヒーロー)ぶりとはかなり違う。■■■
High Plain Drifter、Malpaso Company / Universal、1h45