カンバセーション・・・盗聴・・・('74)

監督:フランシス・フォード・コッポラ
主演:ジーン・ハックマンジョン・カザール、アレン・ガーフィールド

カンヌ映画祭でグランプリを取ったコッポラの意欲作。「ゴッドファーザー」の成功で、暖めていた企画がやっと実現できたといった感じ。盗聴という現代的なテーマを選んで、人間嫌いの孤独な主人公(ジャズのレコードにあわせてsax吹くシーンが印象的だった)を、ハックマン(設定は41歳だがえらい老け役)が好演。盗聴屋が盗聴されるというシーン、誰も信じられない男の苦悩が、よく表れていて、ヒッチコックばりのサスペンスも効いている。盗聴屋の見本市みたいなのがあって面白いが、言い寄ってきた女と寝たら、テープを奪われてた、というネタはイーストウッドの「アイガー・サンクション」にもあった。ただしえらく地味。

サン・フランシスコの都心部の公演を俯瞰で録ったショットが、徐々にアップになってゆく、オープニングから惹き付けられる。盗聴チームが狙っているカップルの何気ない会話から、殺人が示唆される部分のサスペンスは、なかなか。そして一気の展開を見せる後半と見所満載。

他には、フレデリック・フォレスト、シンディ・ウィリアムス*1ロバート・デュヴァル、テリー・ガー*2ハリソン・フォード*3(若い)ら。

73年にピーター・ボグダノヴィッチウィリアム・フリードキンとコッポラが、設立した映画会社、ディレクターズ・カンパニー*4は、結局は本作と「ペーパームーン」しか製作できずに短命に終わった。
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The Conversation、Directors Company/Paramount、1h54

*1:もちろん僕にとっては「アメリカン・グラフィティー」のローリー役、本作とこれ以外はまともな出演作品はない

*2:脇役が多いコメディエンヌだけどここではハックマンの愛人役、この年「ヤング・フランケンシュタイン」で注目された。多発性硬化症にて闘病中だが、「デブラ・ウィンガーを探して」で元気な姿を見せる

*3:実はこの人もコッポラ組で、コッポラが製作の「アメリカン・グラフィティー」のボブファルファで注目(?)された。ちなみに車の隣に座らされた(というか勝手に座ったのが)シンディー・ウィリアムズ

*4:82年に設立された日本のディレクターズ・カンパニーは、もちろんここからとられてるのだろう。こちらは長谷川和彦相米慎二大森一樹池田敏春根岸吉太郎石井聰亙黒沢清高橋伴明ら当時の若手監督が集まって作り上げた会社で、本家と違い10年持ちこたえた