ラスト・ショー('71)
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
主演:ティモシー・ボトムズ、ジェフ・ブリッジズ、シビル・シェパード*1
最初に見たのは、深夜映画だったが打ちのめされた。青春映画がこんなに暗くていいのか!
挫折に象徴される、ニューシネマの持つ「負」の部分が、凝縮されているが、そんなに悲惨に感じはしない。登場人物(不思議に後に有名となった人ばかり)で幸せな人は、だれもいないし、ラヴシーンも寒々としている、が故にか、この映画は本当に美しい。
ラリー・マクマートレー*2の同名原作の映画化。脚本にあたって、ボグダノヴィッチも脚色に、加わっている。
50'sのテキサスの田舎町のひとコマを描いている。いつも風が吹き砂埃が舞うその町は、ひょっとしたら、「用心棒」の宿場町のオマージュかもしれない。町で唯一の楽しみの映画館、ロイヤル座の最後の映画(原題はここから)は、ボグダノヴィッチが敬愛する、ハワード・ホークスの
「赤い河」。その「赤い河」にも出てたベン・ジョンソンが映画館、カフェ、ビリヤード場を経営する元カウボーイで出演。他には、アイリーン・ブレナン*3、サム・ボトムズ*4、エレン・バースティン*5、クルー・ギャラガー*6、クロリス・リーチマン*7、ランディ・クエイド*8ら。
浮気性で高慢な女(この役の最初の候補は、モーガン・フェアチャイルドか、シシー・スペイセクだったという)をシェパードが好演。その母親役は、「草原の輝き」のナタリー・ウッドの母を思わせるが、バースティンの方がもっとくだけてる。
ラジオから当時の名もないヒット曲が多数流れるが、ハンク・ウイリアムスの”なぜ愛してくれないの”が特に印象的。カメラは、ブルース・サーティーズの父、ロバート。50'sの初め、朝鮮戦争のさなかにアメリカの栄光はもう終わってしまっいたのだよ、という語り口はなんとも暗い。20年後に続編が作られたが、イマイチだった(記憶)。■■■■
The Last Picture Show、BBS/Columbia、1h58