■レイズ・ザ・タイタニック('80英)

監督:ジェリー・ジェイムソン
主演:ジェイソン・ロバーズ、リチャード・ジョーダン、アン・アーチャー、アレック・ギネス
煮え切らない演出のせいで、きびきびとしたテンポが出ずにだらだらとしまいまで。原作はクライヴ・カスラーのベストセラー「タイタニックを引き揚げろ」だけど、凡作。最低映画を決める第1回ゴールデンラズベリー賞の最低作品賞にノミネートされたということが評価を物語る。この事実を紹介した映画批評の「底抜け超大作」では「原作そのものがバカ」とまでコメントされていた。作者のクライブ・カッスラー自身も、「お粗末な映画に成り果てた」と著書に書いている。実際、原作に描かれている米ソのスパイ戦、夫婦の愛憎、ソ連軍特殊部隊やハリケーンの襲来などの要素は全てカットされるか、原型をとどめないほど簡略化されていて、単に船と鉱石を探すだけの内容になっており、原作とはかけ離れた容貌(ひげ面)のダーク・ピット、シリーズ中の準主役というべきアル・ジョルディーノが登場しない。また、プロデューサーが約束した額よりもだいぶ低い製作費しか使わなかったことへの怒りから、カッスラーはシリーズの映画化には慎重になり、「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」まで映画化を拒み続けた。しかし、日本においては、1981年度の外国映画の興行成績で第4位となっている(トホホ)

米ソ冷戦下、音波によるミサイル防衛システム『シシリー計画』が米大統領の秘密資金で進められている。それに不可欠な希少鉱物ビザニウムは、ロシア(北極圏スワトロフ島)で採掘されたのち1912年に沈没したタイタニック号に積まれていたという。ソヴィエト政府による引き揚げ妨害工作が暗躍する中、ダーク・ピット(リチャード・ジョーダン)の調査用深海艇はついにタイタニック号の手掛かりを発見する。しかし、3,650メートルの海底から4万数千トンもの鉄の塊を引き揚げることが果たして可能なのか。そして、その方法とは?