■■2001年宇宙の旅('68)

監督:スタンリー・キューブリック
主演:キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド
アーサー・C・クラークの原作を映画化した、SF映画の金字塔ではある。それまであくまでも娯楽作品だったSFを、芸術の粋に高めた1本。あまりに美しい映像美とクラシック曲の調和が見事だ。リング型宇宙船(母船?)が、踊るように宇宙空間を動く様子が、印象的。
また冒頭で、猿人が投げた骨が宇宙船に変わる瞬間のダイナミックな感じとか。でもそれだけ。公開当時は難解(というか説明を意図的に排除)とされ、それがゆえに(だけではないだろうが)名作とされた(特に識者、文化人が高評価)ヘンな風潮を日本では生んだ(お前には分かってたまるか、みたいな)。今見ると、この程度の説明不足映画は、ザラにあるが、ここはもう1つ、冒頭のモノリスと老化してゆく船長をつなぐ(もしくは、何かを示唆する)ものが欲しい。ただ「説明した」続編「2010年」(監督はピーター・ハイアムズ)は、ぐっとわかりやすいSF映画になってしまったのだが。

キューブリック作品は、これまた意図的にあまりなじみのない俳優を起用。例えばキア・デュリアは「バニー・レイクは行方不明」「女狐」(どちらも未見)の出演はあるが、一般的には無名。更にこの後もTVの仕事ばかりで、突出したキャリアとなっている。アポロの月面着陸('69)以前の製作のため、未来世界のヴィジュアル的なデザインは、あくまでも想像の域を超えてないけど、それらが、今見ても極端に古くは感じない、というところにもこの映画のすごさ、というか先見の明はある。
ツァラトストラはかく語りき」(リヒャルト・シュトラウス作)は、この映画で、更に有名になった感があるが、デオダードのヴァージョンも忘れられない。

MGM、2001:A Space Odyssey、2h28、