さらば冬のかもめ('73)

さらば冬のかもめ [DVD]
監督:ハル・アシュビー
主演:ジャック・ニコルソン、オーティス・ヤング

70'sのアメリカ映画の層の厚さを感じるのは、こんな作品を見たとき。映画史に残るような傑作ではもちろんないし、駄作と言い切る自信もない。なんとなく見た後誰かに語りたくなるような、小品だ。
ニコルソンとヤングの海軍兵が、窃盗癖の水兵を、基地のあるノーフォークネブラスカ)から、ポーツマス(ニュー・ハンプシャー)まで護送するロード・ムーヴィー。運ぶモノがモノだけに、同情は禁物だが、次第に情が移って来る一週間余りの旅。喧嘩の仕方を教えたり、筆下ろしをさせたり(相手は若きキャロル・ケインでまるでスティーヴィー・ニックスのようなへア・スタイル)、ビールを飲んでバカ騒ぎしたり、でも結局は刑務所に送られる事がわかっている寂しさ。
ウェットな展開にはならず、あっけないほど意外なラストが、観客の予定調和な感じを、気持ちよく(と言うほどでもないが)裏切る。
ダリル・ポニクサンの同名小説を、ロバート・タウンが脚色(ポニクサンという、一風変わった名前の作家は、ジェームズ・カーンが主演した「シンデレラ・リバティー」の原作者でもあった)日蓮宗の集会が出てきて、南無妙法連華経を題目として唱えたり、「gohonzon」なんて言葉が出てくるのもおかしい。
護送される水平を演じた、ランディ・クエイドが印象的。他には、クリフトン・ジェームズ、ナンシー・アレンら。

The Last Detail、Columbia、1h43、■■