■■■ウィークエンド・ラブ('73米)

Touch of Class [VHS]

Touch of Class [VHS]

監督:メルヴィン・フランク
主演:ジョージ・シーガル、グレンダ・ジャクソン、ヒデルガルド・ニール
村上春樹川本三郎によるシネマガイド本「映画をめぐる冒険」('85、講談社)は、レンタルヴィデオ黎明期(僕にとっての)にはお世話になった。ほぼ8割はカヴァーしたが、未見の作品もちらほらある。日本版ソフトが出てなかった(ヴィデオ時代から)この映画もそうだったが、WOWOWが何年か前にに突如OAしたのは、グレンダ・ジャクソンが2度目のオスカー(主演女優賞)をもらってるから。
不倫のドラマは今では掃いて捨てるほどあるが、この当時このテーマを、肯定的にしかも適度なユーモアをもって描き、しかもコメディとして成り立たせているのはすごい。そもそもロマンティック・コメディ(この言葉も手垢にまみれてるが)とは、こうした映画を指すのだろう。
フランク監督は50年代から活躍する大ヴェテランで、ビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」やら「すてきな気持ち」など、いささか古いタイプの作品を撮ってる人だが、70'sに撮った数少ない作品のひとつである本作(製作は英国だが)は、まさにヴェテランならではの味。新しくはないが、エヴァーグリーンな輝きに満ちている。それにしてもグレンダ・ジャクソンは素晴らしい。この不倫カップルが最初は遊びだったのが本気になり、映画「逢いびき」('45)をTVで見ながら涙を流すシーンはさすが。「冒険」によると

原題の「A Touch Of Class」は「品のいい感触」と言う意味。この原題タイトルは、夫の浮気を知っているのか知らないのか、いつもおっとりとかまえている奥さんのヒルデガルド・ニールの趣味のよさを指しているという説もある。(川本三郎

A Touch Of Class、Embassy、1h46