■■■□スケアクロウ('74米)

スケアクロウ [DVD]

スケアクロウ [DVD]

監督:ジェリー・シャッツバーグ
主演:アル・パチーノジーン・ハックマン
ニューシネマ期の「ロード・ムーヴィー」といえば、これにとどめをさす。
見知らぬ男同士がふとしたことで知り合い、一緒に旅をする事でお互いを分かり合い、友情を深め合ってゆく*1話。この知り合うきっかけとなったのが、最後に残ったマッチを譲ったからで、冒頭のこのシーンは、とりわけ印象的だ。元々はカメラマンで「俺たちに明日はない」の撮影中、恋仲となったフェイ・ダナウェイを主演にした「ルーという女」('69)が初演出となった、シャッツバーグ監督の第3作。
カンヌ映画祭でグランプリを受賞。気難しいハックマン(洗車屋を開こうと思っている)と陽気な(そして繊細な)パチーノのコンビに、しみじみする。タイトルの「かかし」は、パチーノの話に出てくるもので、
「カラスを怖がらせるためにある」と言うハックマンに対し、パチーノは「かかしは、カラスを笑わせるためにある」と説く。これはそのまま、この二人の性格の差を現してるのだけど、最後の方になるとハックマンが、自分に言い聞かせるように、何度もつぶやくのだ。
ラストは、ピッツバーグ行きの列車の切符を買うところで終わるが、これが往復で、ハックマンが再びパチーノのところへ戻ってくる事を示唆する。
ほとんどこの2人だけであとは、脇役ばかりだが、アイリーン・ブレナン、アン・ウエッジワース(ハックマンと踊るシーンでは、アレサ・フランクリンの“ナチュラル・ウーマン”がかかる)、ペニー・アレンら。
音楽は、フレッド・マイロウという人だが、ザ・バンド風の土くさい音作りは、とてもあたたかだ。カメラは名手ヴィルモス・ジグモンド
初めて見たのは、今池にある名古屋シネマテークのニューシネマ特集*2で「アリスの恋」との二本立てだった。


scarecrow、Warner Brothers、1h52、

*1:ホモセクシュアルではない男同士の友情といえばニューシネマが好んで描いたもの。川本三郎は、この友情を「ホモ・アミクス」と呼んだ

*2:この特集が僕をニューシネマに導いた気もする