■■■チャイナ・シンドローム('79米)

監督:ジェームズ・ブリッジズ
主演:ジェーン・フォンダジャック・レモンマイケル・ダグラス
原子力発電所の安全性を巡るトラブルを描いた、社会派サスペンス。隠蔽された事実を暴くような、スリルがあるが長すぎる。この映画の公開後まもなく、ペンシルヴァニア州スリーマイル島原発で事故があり、リアルな危機感として大きく伝わった記憶がある。T・S・クックとマイケル・グレイ、そしてブリッジズが脚本を書き、真実を告発しようとした、社員を抹殺しようとした、会社側の冷酷な動きを、細かに描いている。すでに日本では、黒木和夫が「原子力戦争」(原作は田原総一郎)で、真相を知った記者が殺される話を撮っているが、メリル・ストリープが主演しながら、日本公開が遅れた、「シルクウッド」もまた同様の題材だろう(あれで”アメージング・グレース”という曲を知った)。原発でのシーンよりも、ジャック・レモン(彼の死が描かれた、唯一の映画という)が追われる車のシーンが、サスペンスフル。反戦運動の闘士だった、ジェーン・フォンダが、TVレポーター役で、(しかもお天気中心のレポートからもう少しハードなものを扱って、社会派に転じたいという野心がある)思ったほど突っ込まないのが、少し残念。「カッコーの巣の上で」では、プロデューサーだった、マイケル・ダグラスが、俳優として確かな印象を残した、最初の作品でもある。原題は、「原発の事故で炉心融解が起きれば、地球の核を通り抜けて、アメリカの裏側の中国まで被害は続くだろう」という意味。実際には、アメリカの裏側は中国ではないけど。
主題歌は、スティーヴン・ビショップの”Somewher In Between”だが、製作も兼ねるダグラスが、当初使いたがった曲は、ドゥービー・ブラザーズの”What A Fool Believes”だったという。
The China Syndrome、Columbia、2h02 ■■