■■■■ゲッタウェイ('72米)

ゲッタウェイ デジタル・リマスター版 [DVD]

ゲッタウェイ デジタル・リマスター版 [DVD]

監督:サム・ペキンパー
主演:スティーヴ・マックィーン、アリ・マッグロウ、ベン・ジョンソン
近年再評価著しいジム・トンプソン*1の同名原作をウォルター・ヒルが脚色、メキシコを中心としたロケが冴えるペキンパーのピカレスク・アクション。
当初パラマウントが製作で話が進められたが、例によってモメて中座した為、マックィーン、ポール・ニューマンシドニー・ポワチエらの設立した新会社、ファースト・アーティスツが製作にあたった1本。釈放を条件に悪徳政治家と取引した*2囚人のドク・マッコイ(マックィーン)が銀行強盗をきっかけに一味に追われる話でタイトルのgetawayは、マックィーンとマッグロウの逃走のこと。犯罪者を主人公にしながら、最後はメキシコで逃げ切ってしまうというエンディングが一般的だが、州法によって禁止されている地域は、逃げ切れないエンディングが用意されていたという。
ペキンパー監督は例によってスロー・モーションを多用したヴァイオレンス・シーンを連発。ラストのエルパソのホテルでのシーンは圧巻。濃い顔の悪漢、アル・レッティエリは見かけほど強くなかったするが、その相棒、ボー・ホプキンスはすぐに殺されてしまう。他にはジャック・ドッドソン(獣医)、サリー・ストラザーズ(その妻)、リチャード・ブライト(置引き屋)ら。ラストで印象的な老人は、名脇役のスリム・ピケンズで、マックィーン、マッグロウとのやりとりが面白い(この後トゥーツ・シールマンスのハーモニカ・ソロがあってエンディング・クレジットとなるがこの部分が、ペキンパーにしてはずいぶんメロウだ。音楽はクインシー・ジョーンズ)。
見せ場の一つに、駅のコインロッカーでの置引きがあり、ブライトにとって忘れられない役どころとなった。当初はピーター・ボグダノヴィッチ監督、シビル・シェパード主演(「ラスト・ショー」コンビ)で企画が予定されていたが、ペキンパーにスイッチ。ペキンパーはマッグロウではなくステラ・スティーヴンスを考えていたと言う。そのマッグロウはこの後「コンボイ」にも出演(すごいブスメイクだった)。センタ・バーガーと共に、ペキンパーが2度起用した、数少ない女優の一人となる。94年にアレック・ボールドウィン=キム・ベイシンジャーのコンビでリメイクされたが、これはメロドラマ志向が強かった。

 


*1:一番有名なのは「現金に体を張れ」か

*2:あるところに、とびきりいい女がいる。その亭主を監獄から出せる政治力のある男がいる、とは悪徳政治家のジョンソンの台詞