サンダーボルト('74)

サンダーボルト [DVD]
監督:マイケル・チミノ
主演:クリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジズ

これも男の友情もの。後に「ディア・ハンター」で持ち上げられ、「天国の門」で落とされる、チミノ監督は、イーストウッドと、「ダーティ・ハリー2」の脚本で知り合い、このマルパソ・カンパニー作品が、監督デビューとなる。全体にコメディ色が濃く、ジョージ・ケネディ、ジェフリー・ルイスを加えた4人は、派手にやりあうが、仲間になったりと、劇画的(「ルパン三世」を思い出す)。その分、シリアスな感じが薄れるから、銀行襲うシーンにあまりリアリティが感じられなくて、中途半端な印象もともなう。
冒頭で偽牧師を演じた、イーストウッドだが、ケネディとは、朝鮮戦争時代の仲間という設定。一方中古車屋で盗んだ車で、偶然イーストウッドとかかわる、ブリッジズは、まだまだヤンチャな役柄という設定。こういう男たちの話には、女は不要と、チミノは考えたのか、女優はホントに添え物。けれど、よく見ると、名もない役で、名もない人たちが、印象的な役を演ずる。
ブリッジズの相手をする、キャサリン・バックは、映画作品は、ほとんどこれだけで、TVの仕事が多い人。イーストウッドの相手役の、ジューン・フェアチャイルドは、送ってと頼んで相手にされないと見ると、下着姿で外に出て、一言「レイプよ〜」。 社会保険の番号は?と聞きに来る工場の事務員は、なんとマッド・ドッグス&イングリッシュ・メンのコーラス隊で、ワーナーにレアなソロを出してる黒人シンガーのクラウディア・レネアーだし、ブリッジズに、ゲイリー・ビュージーに借りたトラックでちょっかい出されると、逆にレンチで応酬する、バイクの少女がカレン・ラムだったりと、興味は尽きない。
あと排気管を車内に入れ、トランクにウサギを詰め込んだ、イカレたドライヴァーに悪役で有名なビル・マッキニーが、出てるのもおもしろい。
主題歌は、ポール・ウイリアムスの“ホエア・ドゥ・アイ・ゴーフロム・ヒア“で、悲しげなラスト(「真夜中のカーボーイ」を意識してるのか)によく合う内省的なナンバーだ。
Thunderbolt & Lightfoot、Warner Brosthers、1h54、■■