サブウェイ・パニック('74)

サブウェイ・パニック [DVD]
監督:ジョゼフ・サージェント
主演:ウォルター・マッソー、ロバート・ショー、マーティン・バルサム
ジョゼフ・サージェントという監督はTV出身の演出家で、突出した才能があったとは他の作品を見る限り思えないけど、「サブウェイ・パニック」はまさに奇跡のような作品。NYロケを敢行し、スタジオでのセットでは出せない臨場感、リアリティーを出すのに成功している。もっともNY市当局もこういった映画撮影に積極的に協力したという、と言う背景があったのだけど。
ショー(ブルー)、バルサム(グリーン)、ヘクター・エリゾンド(グレイ)、エール・ハインドマン(ブラウン)の4人によって地下鉄がジャックされ、彼らはどうやって身代金を奪って逃げるのか?という点に興味は集中するが、人質となった17人のパニックに直面したそれぞれの反応(「止まれ!」とヨガのポーズで念じるヒッピー娘、ひたすら祈りを唱えるヒスパニック系婦人、きっと止まるはずだと信ずる元地下鉄職員、停止の衝撃で「着いた?」とやっと目覚める泥酔の老婆etc)や、あっけないラストなど、大型パニック映画全盛の時期に小粒でピリッとした面白さはさすが。マッソー演じる公安警察警部の飄々とした持ち味(東京地下鉄のえらいさんご一行をもてなすくだりも最高で、現行DVDでは違うが、かつてWOWOWでOAされた際は、「猿軍団ご一行は局長室へ」と出て大笑いだった)もこの映画の魅力。犯人たちが、自分たちを色で呼び合うアイディアは、タランティーノが「レザボア・ドッグス」でも引用。余談ながら大瀧詠一の”ハンドクラッピング・ルンバ”で、74年のヒット洋画として「エクソシスト」、「エマニュエル夫人」と並んで、題名が歌詞に出てくる。
The Taking Of Pelham One Two Three、UA、1h44、■■■

予告編あり